チョベな日々 ①
ここは 南アフリカ ボツワナ北部に位置する チョベ国立公園。
以前、チョベ河でくつろぐ象の大群の映像を見た時、
何としてでも行きたい、と思った。
ガイドブックにも、簡単に象の大群に出会える場所、などと書いてあるから
期待に胸膨らませ到着、3日滞在したのだが、、、。
旅行社、ガイドブックの言うことは 鵜呑みにしてはいけないのだ。
雨季が終わる5月、と今回の旅を設定したのは 半年以上前である。
余裕を持って 「悪くはない」季節を選んだつもりだった。
チョベの前に滞在していたオカバンゴでは
今は「冬」だよ、動物は余り動かないよ、と言われ
えっ? 乾季が始まったところじゃないの? と噛み合わない問答。
無論 南半球である事は分かっていたけれど、オカバンゴは凍える寒さなのだ。
チョベ河のあたりは、それ程でもなかったが、河辺は閑散としている。
ガイドに確かめると、8月とか9月の超暑い時期に、動物はこぞって
水を飲みに河へ来る、と言う。でも、暑くて午後は外になど出られないよ、とも。
日本の四季の観念とか、東南アジアの雨季、乾季とは異なるアフリカのスケールは、
ちょっと想像に至らなかった。だいいち、チョベ国立公園だって多様な生態系を持つ。
湿地があり、湿原があり、森林があり、中間部は内陸地だ。
それに、季節や気候だけではない。
象はもちろん、みんなが大好きなアカシアの木は、私達が足を踏み入れられる辺りは
ほとんど食べ尽くされている。
象のエコシステム (食べて排出される種により 森が再生する) も 全く間に合わない。
アカシアが 芽を出し次第、皆でこぞって食べてしまうのだ。
象は 好物を求めて 山奥まで移動しており、涼しいこの季節は3日に一度くらい
水を飲みに ゆっくり河に降りて来るらしい。
季節によっては、 200km ほども移動するという。
という訳で 象の家族がうじゃうじゃとひしめく光景など やはり夢だった。
孤独な雄象が、仕方なくその辺の木の葉を突っついていたり、河辺を散歩してたり、
山から降りて来る象達には、「偶然」の遭遇を待つしかない。
そして、その日の午後は その奇跡の偶然だった。
最後の日で 諦めかけていたまさにその時、
サファリの車に乗って こちらがじっとしている限り、
象達は慣れているのだろう。車に触るくらいにして前を通り過ぎたり、
河に平行する車道を群が横断する時は、
「あなた達は ず〜っと赤信号よ!」とでも言うかのように
の〜んびり渡って行く。
運転手は、トラフィックジャムだ、と 象の渋滞に 両手を上げる。
子象に至っては、柔らかい砂の車道で遊び出したり、
車に向かって、「ここは僕んちなんだい!」と 耳を広げて どすん! と
どの群れにも 子象が2,3頭 ちょこまか くっ付いていて いたく健全な光景だ。
そして そのうち
象たちは 河を渡り始めた。
象に 会えない間、ワニやトカゲなどもたくさん観察している。
大人の象には手出ししないワニも、子象となると話は別。
赤ちゃんを真ん中にして 慎重に渡って行く。
さて、中洲になっている離れ島には 何しに行くのだろう?
何組もの群れが 渡って行くのを、私達はじっと見ていた。
(続く)
by maria-elephant
| 2017-06-05 10:38
| 象を訪ねる